2) 今回訪問したアメリカ合衆国ウィスコンシン州と、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの北欧諸国には、進んだ環境教育プログラム、そしてそのプログラムを活用する体系だったカリキュラムがあり、特にウィスコンシン州においては、法体系の整備・改善や、法に基づいて作られた大学付属の環境教育センターが、さまざまな指針や現場で活用できる資料を発行していることがわかり、この分野での我が国の立ち後れが確認された。 3) 環境教育の具体的指針としては、日本で広く流布しているベオグラード憲章の6段階の達成目標よりも具体的で、市民行動まで意識したウィスコンシン州の35の目標段階が、我が国の環境教育においても使えるものとして高く評価できた。 4) 日本においても、文部省による環境教育指導資料の発刊や、環境基本法の制定、プログラム集の出版など、環境教育を取り巻く条件整備は整ってきた。しかし全体として取り組みが徹底されていなかったり、内容として知識偏重の「知らせるだけ」の教育に陥っている傾向がまだ見られる。これに対する解決策としては、国による学習指導要領など拘束力の高いレベルに環境教育の内容を導入することや、法体系の欧米並みの一層の充実などが考えられる。 5) 環境教育では市民行動を起こせる人材育成が世界的に目指されているが、日本ではNGOの役割が低く、社会構造が、市民の意志を社会に反映しにくい3極構造になっている。民主社会実現のための理想的姿として、議会・行政・市民・NGOによる社会の4極構造の構築をすることが望まれる。
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